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エレファントピア

エレファントピア

15(シンガポール)

15 フィフティーン

オススメシンガポール映画。シンガポールにもこういう映画を撮れる素地があるのです。オーチャードロードとマーライオンだけではないのです。
Woo Li Yi監督。2003年。

どんな映画かと一言で申しますと、

不良映画です。


日本であっても珍しくないと思いますが、ここシンガポールで、それも未成年による麻薬密売と中毒に彩られた青春群ゾーを扱う映画が出てきたというのは、やっぱり出色かと。
シンガポールって安全で清潔で健全な国っていうのを売りにしていますけど、恩恵を受けていながらも常々「ホントかよ?」と思っていました。世の中「明」があれば「暗」もあるものなのでは。「暗」の無い世の中って、いいはずなんだけど、息苦しくもある…

そんなふうに思っていたので、シンガの暗部を描いてくれた15。単なる不良映画なんだけど、私はなぜが安心してしまったのです。

この映画はシンガポールではR指定で放映されたのですが、それでも大分カットされたようです。(無理もない、ヤク運びのシーンがあれだけ延々と流れれば…)DVDでNoカット版がでるか、そもそもDVDが出るのか…好きな映画なだけに不安です。
日本では見る事ができるのでしょうか?(ムリそ~)




以下、ネタばれ。



でもネタをばらそうにも、ストーリーなぞない。ポイントなぞ。

・15歳。2組の親友たちの生活と友情談
・シンガポール人の英語って…実は聞き取りにくい。その点15では全編、福建語(公用語の北京語ではない)+マレー+シングリッシュ。ヘンな英語(失敬)しゃべられるより、かえってカッコいい。
・映画に出てる男の子たち、みんな素人だっていうけど、ホントかいな?米アングラ映画「キッズ」みたいに、彼らの本当の生活を追って撮影したというけれど?
・いわゆるショートフィルム系。グラフィックなども多用したコミカルな作り。



私が好きなのは、後半の2人の少年のお話。
ヤクの売人で、中毒で、顔中ピアスだらけ。自殺願望の友だちのために最高の自殺場所を探しに奔走。ケンカして、切って切られて、飲んでラリってゲロはいて。繊細で、厚くて、思いやりがあって。




「勝手に一人で行こうとしてもダメだ。一緒に陥ちてやる。」






金策に売春してHIV感染した相棒への一言。



この映画に出ていた2人の、ひとりは少年院、ひとりは行方が知れないらしい。
暗部をひたすら排除する明るい国シンガには、彼らの居場所はないのかもしれない。

(2004年5月20日)


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